単にインパクトを狙うでは見透かされる。
ブランド・マネジメントの観点から気をつけるべきこと。
SNSがこれだけ発達すると、以前のようにマス広告をしなくても注目を浴びることができるようになります。Twitterやフェイスブックでシェアされていくことで、どんどん知名度が上がっていくということはよくあることです。もちろん「炎上」というマイナスの知名度の上がり方もあるので、一概にいいことばかりではありません。
さて、9/24の「しらべえ」にて「納豆すくい放題がアツすぎる 茨城県水戸市『みまつホテル』の朝食が最高」という記事が掲載されました。この記事はさまざまな人や有名人までシェアを行い、SNS上で話題となりました。
水戸という、納豆の「聖地」でホテルの朝食に「納豆すくい」というこれまで見たことのないインパクトのある発想と写真の見た目が一気に広まった要因だったように思います。私自身も、納豆好きなので、水戸に出張があるときはぜひ宿泊してみたいと思いました。ブランド論的には一番お金のかかる認知を上げるプロモーションが0円で行えたということになります。これはホテルからしてみたらとても大きなことです。もちろん、バズ・マーケティング的な視点で、予算も使いながら狙ってやった可能性もありますが。
経営戦略的な視点でも、ブランド論的な視点でも、それからマーケティング的な視点でも、結局どの見地から見ても、勝つためには「他と違うことをする」ということがよく言われます。その意味でこの「みまつホテル」の例はお手本と言える例です。
しかし、こうした「他と違う極端なことをする」ということは、プロモーション的には正解でも、ブランド・マネジメント的な観点からだと少々慎重に行かねばなりません。「強くて、好ましくて、ユニーク」なイメージをユーザーに持ってもらうには、掲げた「ブランド・ビジョン」に則ったアイデアの実行、プロモーションが必要です。つまりこちら側が思う「強くて、好ましくて、ユニーク」なイメージを持ってもらうために、何をするか。という観点で組み立てるべきでしょう。極端なことを単なるインパクトとして捉えると、最悪「炎上」という想定していない悪い方向に行くこともああります。また一時期話題になったステルス・マーケティングのように、極度に狙ったものは見透かされて批判に合うこともありえます。このあたりは炎上について書いた記事もあるのでぜひ読んでみてください。
「みまつホテル」さんのことは当然深くまでわかりませんが、水戸にあるホテルがおもてなしの一環で「納豆すくい」をやっている、ということは、外側から見る限り、地元密着の感じが伝わるし、単なるインパクト勝負でやっているようには思えません。水戸に行ったときには、「みまつホテル」さんに泊まってみよう、と思わせる力があるように思います。
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