ランキングにこだわる必要はない。
単にマネしても効果はない。
5/11に東洋経済オンラインに、「就活生が高く評価する採用サイト32」という記事が掲載されました。見やすさということで、ANAが1位を獲得しています。このランキングを見て、世の中の採用担当者や責任者はどのようにすればいいか、ということをブランド論の見地から読み解きたいと思います。
就職人気企業ランキングを見たことがある採用担当者なら気づくと思うのですが、記事内のランキングを見ると、順位の変動こそあれ、ほとんど顔ぶれが一緒ということがわかります。つまり調査の仮説として、就職人気企業ランキングとほぼイコールになる、ということなのだと思います。
いくつか企業の選択肢を挙げておいて選ばせる形式なのか、もしくは学生によかった採用サイトをスバリ聞く方式なのか、どのような調査方法を用いているのかまではわかりませんが、学生自身の志望度や知名度(BtoCかBtoBなのか)によっても大きく影響されるランキングなのではないか、と思います。
そう考えると、このサイトランキングを見て、「ANAのようにしてみよう!」とデザインや構成やメッセージを単に真似てみても、効果があったのか、なかったのかわからないサイトになってしまう可能性が高いと言えます。またこのランキングを上げることに躍起になっても意味がありません。採用の結果は人数であり、その企業にマッチした人材が採用できたかどうかです。ランキングは上記の仮説の条件よって大いに左右されると考えられます。だからホームページ単体の問題ではありません。
この記事のコメントで「人気な企業のサイトほど見られているし、当然予算をかけて見やすくしているので、大企業の担当者が、平均的な就活サイトを把握するのには役に立ちそう」。というコメントをされている方がいるのですが、まったくその通りで、そのようにこのランキングを活用するのが賢明といえます。
業績アップは、採用ホームページからすでに始まっている。
では採用サイト作りをしていく上で、何が重要なのでしょうか。それは「理念」です。自社の理念をベースに、戦略を語り、そして現場でそれがどう息づいているのかを示してく必要性があります。理念はその会社の想いそのもの。根本に共感してもらえる人が説明会に集まってくれば、直接今度は理念や戦略を語りかけることができますし、選考に進んでもらえる確率も上がります。そして、もともと理念に共感しているのですから、さらにそれを深めていくことで、内定承諾率も上がりますし、何よりもすでに採用時点から理念教育をしていることになるのです。つまり企業にとっては、辞めにくく活躍する角度の高い人材を採用することにつながります。
リクルートマネジメント・ソリューションズが2009年に調査した結果によると、業績を上げるには3つの指標があると発表しています。①実行力②変革力③知の創出力で、③は少々わかりにくいですが、簡単に説明すると「部門を横断したコミュニケーション力」と言い換えることが出来ます。以上の3要素が業績を押し上げるということですが、その土台になっているのが「ビジョン共有力」とのこと。つまり社員間に理念が浸透していることが、業績上昇の起点になっているのです。
こうしたことから逆算すると、採用母集団形成の時点から理念共感している人を集められれば、非常に効率のいい採用を行うことができると考えられます。その時、企業の顔になるのは採用ホームページ。いい採用ホームページとは、自社の理念を土台に、戦略、現場までの一気通貫した「軸」があること。だからこそ、自社の独自性が画面を通して伝わるのです。そしてこの取り組みこそ、採用ブランディングを構成する重要な一部分であると言えます。
参考文献:リクルートマネジメントソリューションズ組織行動研究所『日本の持続的成長企業 ―「優良+長寿」の企業研究』(2010)
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