【ブランドづくりのコトバ脳 vol.1】
感性か?理性か?
男前豆腐。twitter。変なホテル。のどぬ〜るスプレー。ブラックサンダー。どこでもドア。高木ブー。中二病。センチメンタルジャーニー。なんとも情緒的で、感性をくすぐるネーミングの数々。
商品だったりサービスだったり、なにかブランドを立ち上げる時に、誰もがきっと頭を悩ますネーミング作業。たった数文字で、オリジナリティを盛り込み、差別化を果たし、さらにはインパクトを持たせるのはとても難しいものです。
造語にしたり、ギャグにしたり、ちょっと言葉遊びのような意味合いもはらんでいることから、ネーミングはついつい「センス」とか、よくわからないもので語られがちだったりします。
でも、個人的には、「一瞬のひらめき」より「理性で紡ぐパズル」のようなものだと考えていて、その組み合わせ方さえ身につければ、機能するネーミングはつくれるんじゃないかと思ってます。そこで今回は、過去の優れた名称(個人的視点でチョイス)から、ネーミングのヒントを導いていきます。
「機能」攻めで、カテゴリーをかっさらう。
「ウォシュレット」。個人的に、ネーミング史上ナンバーワンは、この名称です。
構造はいたってシンプル。「ウォッシュ」と「トイレット」の掛け合わせで構成されています。
もともとこのネーミングは、洗浄機能付きトイレというカテゴリーにおけるTOTO社のいち商品名ですが、今ではカテゴリーを表現する一般名詞として浸透し、多くの人はこの機能をもった商品群全体を「ウォシュレット」と呼んでいると思います。
実は、このネーミングの由来として、「レッツ・ウォッシュ=おしりを洗おう!」というメッセージを逆さにして名付けられたそうですが、そのメッセージ性もさることながら、機能がこれ以上ないくらい端的に語られていることで、洗浄機能付きトイレ=ウォシュレットというポジションを確立したと思います。
同様のアプローチでは、「着メロ(アステル東京)」「プラモデル(マルサン)」「バンドエイド(ジョンソンエンドジョンソン)」「宅急便(ヤマト)」や「セロテープ(ニチバン)」などがそれに当たるでしょうか。
こねくりまわさず、王道をつく勇気を。
このように、商品やサービスそのものに新規性がある場合、なおかつそのカテゴリーを明らかに独占しているブランドがない場合は、その「カテゴリーそのもの」の持つ機能を素直に押し出したり、組み合わせて名前をつくる。ということが、機能するネーミングのひとつの近道な気がします。
そしてそのとき、もうひとつ重要なのは、そうして生まれたネーミングを、「勇気を持って選ぶ」ということ。この、機能の組み合わせでつくる手法は、あまりにもオーソドックスかつ王道なので、結果としてシンプルな名称になることが往々にしてあります。そんな時、作り手としては「こんなシンプルなもので大丈夫?」と不安を持つでしょう。そうして、あれこれこねくり回して、結果として、よくわからないものになる。そんな状態がよくあるので、勇気をもってど真ん中を付くという心意気も意外と大切なポイントな気がします。
オマケ:まずネーミングから、ブランドをつくってみる。
よく、プロモーションの企画をする時に、「まずプレスリリースからつくってみる」という、ちょっとしたセオリーがあります。
決められた文字数の中で、なにがニュースバリューなのかを、端的に表現しなければいけないプレスリリースを企画段階でつくることで、客観的に整理しながら企画を進められるというメリットがあります。
それをちょっと応用して、新規商品やサービスの企画段階で、ネーミングをつくってみる、というのも有効だと思います。
そのブランドはなにがコアなのか?なにが新しいのか?それを客観的に見つめることで、立ち上げる商品なりサービスが担う機能そのものの見直しや、検証をすることができるはずです。企画段階から、アウトプットをイメージできるとその後のブレもなくなるのでオススメです。
◎次回予告:「トイレその後に」に学ぶ、ネーミングのヒント
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