ブランド論の本質は「差別化」
「ブランディング」。これほど、人によって定義に差がある言葉も珍しい。その原因として、「ブランド」に関する理論が実質25年ほどの年月であり、新しい理論であることがあると考える。戦略論に比べて圧倒的に歴史が浅い。ただ、戦略論の見地から見ても、ブランド論の見地から見ても、結局、言っていることはほぼおなじ。つまり、「他社とどう差別化するか」なのです。
さてブランド論は、ブランド論の権威、デービッド・A・アーカーが1991年に出した『Managing Brand Equity』によって、ブランドが企業にとっての資産(=Equity)であるという理論が発表され、そこからブランド構築(=Branding)という考え方が広がっていきました。
その後、1994年に日本語訳され、日本でも急速に広がります。今でもブランド論を語る上で、基本となっています。日本語訳は本当に難解。英語が得意な方なら、原書のほうがおそらくわかりやすいのではないでしょうか。この理論の発表から次々と「ではどうしたら、ブランドを正しくマネジメントするべきか」という理論が発表されていくわけでが、その理論を引っ張っていったのは、上記のアーカー氏と、アーカー氏の後に「顧客ベースのブランド・エクイティ」を提唱したケビン・レーン・ケラーによって、ぞくぞくとその理論が発表されていくこととなります。
日本でもこれまでブランド関連の書物が発売されていきますが、日本発ということでは、現在、早稲田大学商学学術院の教授、恩蔵直人氏による『競争優位のブランド戦略』(1995)がおそらく初。
これらを一つ一つ解説していくと、とてつもない長さになるのでやめますが、一般的にものすごく曖昧な「ブランディング」ということの意義を、数学の証明のような形を持ちいながら、しかしなるべくわかりやすく説明すると、どうなるのか。日本初となると思いますが、今日は編集部としてチャレンジします。
ブランド論を証明のように説明してみると。
ブランディング=ブランド構築
ブランド構築=売れ続けるためのしくみ/採用し続けられるためのしくみ=ファンづくり
だとすると、ファンづくりとは「ファンになる要素は何か」をまずは知ること。それは以下の3つ。
1,スタンス(在り方、生き方)がある
2,憧れを抱ける
3,見た目がカッコイイ
1,スタンスがあるについて。
=生きていく上での軸
=何のためにそれをやっているのか
=ブランドの目的
=理念
=ビジョン(顧客とともに目指す未来)
ゆえにそれらを測るKPIは、
企業内外に関して、ブランドの考え方が、浸透しているかどうか、となる。
2,憧れを抱ける
=顧客に与えている魅力的な価値
=バリュー(顧客に約束する価値)
ゆえにそれらを測るKPIは、何を持ってバリューの項目を達成したとみなすかという定義が必要であり、定量的に把握する指標を設定し、追いかけていく必要がある。
3,見た目=
(1)コミュニケーション・メディア、ツールにおけるクリエイティブ
(2)社員の行動
(1)に関してのKPIは、
・それらメディア、ツールにおけるコンセプト・内容の到達度
(2)に関してのKPIは、
・社員がどんな行動を行い、何をKPIとするのかを設定する。
(1)(2)に関して、アーカーの言う、
(a)ブランド認知を参考にKPIとしてもよい。ただし(a)=深さ、幅、強さ、好ましさ、ユニークさのことを言う。
以上終わり
つまり、アーカーの言う、ブランドエクイティにおける、認知のしくみは、あくまで1〜3の「結果」得られるものであり、どうしても最短距離を行きたくなり、3ー(1)のみ追い求める傾向が強いのではないかと思います。
文:BRAND THINKING編集部
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