表現ありきで考えてしまうと、効果が出ない。
多くの企業(の広告)や若い制作者がやりがちなのが、「どう言うか」をひたすら考えてしまうことだと思います。 どう言えば、一番世の中を動かせるか。ここに多くの時間を割きがちで、かつここで競合プレになったりします。しかし、本来は課題が何かを明らかにしていくと、その課題に対する解決策(何を解決するのか)が、提案の骨子になるはずです。
広告の場合、最終的に提案物は表現になるので、どうしても「どう言うか」という、考えやすい部分、表現の技工さ、デザインの精度の高さをすぐに考えがちになってしまいます。ここに「何を言うべきか」をすっ飛ばしてしまう罠が潜んでいます。
本来、まずは解決策である「何を言うべきか」を決めるべきで、それを方向性として、表現にジャンプさせていくことで、効果が出る確率を高めることができると考えています。そもそも「何を言うか」が間違っている場合は、すなわち課題が解決できないというわけです。
これはなにも、広告に限ったことではありません。たとえば社内のMTGで使う資料作成でも同じです。課題に対する解決策(=何を言うか)をまずしっかり書く。その上で、表現をブラッシュアップしていくと、とってもわかりやすい資料になると思います。
こう考えていくと、しっかりと効果の出るものをつくっていくには、
1,何を課題として設定するのか
2,解決策は何か(=何を言うか)
3,どう言うか(=表現)
という順番になり、1が間違えると、2も3も間違えることになることがわかっていただけると思います。それだけ1は重要だ、ということです。
前職時代、新人に「ヒアリングで何を気をつければいいですか?」とよく聞かれましたが、とにかく口を酸っぱくして「課題をちゃんと掘ってこい」と伝えていました。クライアントが認識している課題は何なのか。そこから見える本当の意味の課題は何なのか。
その上で、何を言うかという解決策を考える。表現は一番最後。制作者は基本的に「つくりたい」人間なので、どれだけどう言うかを我慢して、1と2が考えられるかが、効果の出る制作物を生み出す重要な視点だと思うのです。
文:BRAND THINKING編集部/むすび株式会社 代表取締役 深澤 了
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