【シンクスマイル「HoooP~フープ~」のブランド論 第1回】
ショップカードやポイントカードを一括してスマートフォンに入れることができる「Ziriri~ジリリ~」、ネイルや美容室などのお試し体験サイト「torakore~トラコレ~」などさまざまな自社サービスの開発・販売を手がけるシンクスマイル。これまで多くのメディアで取り上げられた注目の理念浸透ツール「HoooP~フープ~」がさらなる進化を遂げている。今回は「HoooP」のブランド論を掘り下げるとともに、今後の展望を代表取締役・新子明希氏に聴いた。
何でも売れる。だからこそ、何のために、何を売るか。
——売上至上主義から、理念至上主義へ。変えたきっかけはどこにあったんでしょう。
19歳からいろんな商材の営業代行をしていました。売ったことはないくらいなんでも扱いました。2007年に営業コンサルの会社を設立しています。若いうちからいろんな経験をさせてもらったので、営業に関しては、「売れないものはない」というくらい自信がありましたし、今でもあります。若かった当時は、とにかく売上主義で、売上と利益の向上を第一にそればかりを見ていました。当時、最高の売上が出た時でしょうか。社内を見れば、みんな見ている方向はバラバラ。売上上げればばいいんでしょう、という人たちばかり。売上は上がっている。利益もある。何でも売る自信がある。でもだからこそ、自分たちは「何のために、何を売るのか」が大事じゃないだろうか。そう思って、経営について勉強をし始めたのが33歳頃でした。結局、利益集団って調子のいい時はいいと思うんです。でも経営は山もあれば、谷もある。利益が出なくなったとき、みんな離れていくと思ったんです。やっぱり、理念でつながった集団の方が強いな、と。だからいろんな経営者のところへ話を聞きに行って、同時に社内で理念をまとめていきました。
はじまりは、自社の理念浸透が目的だった。
——「褒める」を可視化するという発想はどこから来たのでしょうか。
「何でも売れる」からこそ「誰と売るか」はもっと重要だと思いました。いろいろ売ってきたけど、結局「いい仲間」と面白く働けている。だとしたら、価値観が合う仲間を集めよう、という思考の流れでした。理念を浸透させようと思ったとき、例えば有名な方法としてザ・リッツ・カールトンの朝礼があります。僕、実際に聞きに行きました。そうすると、「昨日の◯◯さんの行動はクレドの◯番と合っています」というのを毎朝1時間やると。全世界4万人の従業員が100年やったらああなるのか、と思って、同じことをやっていたのでは、一生追いつかないなと思ったんですね。社員がやらされ感にならないためには、楽しみながらできるようにしないといけない。だから、バッジという概念をつくって、それをWeb上で贈り合う。しかも「褒めて」贈り合うことで、ポジティブに理念を浸透させることができると考えたんです。このシステムを数千万円かけて開発しました。それが2010年。本気で、価値観で合う仲間を集めようと考えていました。すると2012年、NHKに面白い取り組みをしている企業があると取り上げてもらったんです。
売る気はなかったけど、問い合わせがたくさん来た。
——売るには難しい商品のように思います。
そこから誰もが知っている大手企業も含めてたくさんのお問合わせをいただきました。実はNHKだけでもすでに10回位とりあげて頂いています。あまりにたくさん問い合わせを頂くので、2011年の社員総会で、2013年に販売しよう、と掲げました。自社の商品が役に立つのであれば、ということで、まず宣言。それまでにシステムもバージョンアップするし、自分たちも毎日使い続けることで、商品理解を深めよう、という話をしました。やっぱりどの会社も、社内のコミュニケーションにとっても困っているんだということなんですよね。宣言通り、2013年1月にまずオーダーメード版が売れました。2014年にはASP版をリリースして、一気に導入企業数が増えました。今までに800社に導入してもらっているのですが、しっかり使って頂くことで劇的な効果を挙げている会社もあります。社内のコミュニケーションを可視化して感謝や賞賛を集計すると、活躍してる人や、ひとりひとりの強みや、組織毎のコンディションが見えてきます。
(次回は12/19月に公開します)
* * *
株式会社シンクスマイル 代表取締役 新子明希
19歳で営業代行の仕事を起こす。2007年、コンサルティング会社の設立を経て、2011年、シンクスマイルに商号変更。「HoooP」は2010年に自社の理念浸透目的で開発したのが始まり。褒めるを可視化する、というコンセプトが注目を集め、さまざまなメディアで取り上げられる理念浸透ツールである。
聴き手・文:BRAND THINKIKNG編集部 撮影:落合陽城
※本コメント機能はFacebook Ireland Limitedによって提供されており、この機能によって生じた損害に対して弊社は一切の責任を負いません。