経営に正しいブランディングを。わかりやすく解説|ブランド シンキング

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経営に正しいブランディングを。わかりやすく解説

さすが◯◯らしい!と言われるまでやり抜くブランドが強い。

元インターブランドジャパン 現愛知東邦大学教授 上條憲二
【ブランドは社内のエンゲージメントから 第1回】

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ブランディングと言うと、プロモーション面ばかりが注目され、学術的な歴史を見ても、コミュニケーション分野を扱った理論が数多くある。一方で、ブランド・ビジョンを社内に浸透させることの重要性への言及はかなり少ない。しかし、今日のブランド論を形作ったアーカーもまた、「まずは従業員がブランドを演じる存在になれ」と言う。「ブランドは社内のエンゲージメントが重要」と語るのは、広告代理店やインターブランドで、さまざまな企業のプロモーションやブランディングの現場に携わり、現在は愛知東邦大教授の上條憲二氏(写真中央)。編集長の深澤(写真左)と連載を持つチカイケ氏(写真右)が迫った。

 

聴き手・構成:BRAND THINKIKNG編集部 撮影:落合陽城

 

本質的に体質を改善するのが、ブランディング。

深澤:まず、広告代理店で執行役員まで務められた上條さんがなぜインターブランドに行かれたのか、このあたりからお聴きしたいな、と思ったんですが。

チカイケ:のちのち語って頂くブランド論が深まりそうな予感がします。

上條:広告代理店への個人的な危機感もあり、会社がどうあるべきかや、外部の企業との連携を模索していた頃でした。その中にインターブランドがありました。ほら、インターブランドは媒体扱わないじゃない。彼らが戦略構築して、私たちがプロモーションを考え、媒体を押さえる。そんな連携をしていたんです。インターブランドは、若いのにコンサルタントとしてさっそうと仕事しているなあ、と思っていました。それが魅力的だったんですかね。(笑)。当時52歳だったと思いますけど。

チカイケ:広告代理店からブランディング会社へというのは、あまりないと思うのですが。

上條:インターブランドへ行って、それまでの仕事観がガラリと変わりましたよね。

チカイケ:どんなふうに変わったんですか?

上條:例えば病院に行ったときに、患者に「身体をしっかり治して、元気になったら、少しずつ運動しましょうね」と言うのがブランドコンサルタント。とても本質的に映りました。一方、広告代理店で例えると「今は体力がないからハンバーグとか、ステーキとか、おいしいもん食べたら、元気になりますよ!」という感じ。

深澤・チカイケ:爆笑!

上條:思えば広告会社という業態は範囲が非常に限定的です。例えば広告であるタレント起用していたとして、契約が切れたらまた次のタレントを提案して、と繰り返すわけですけれど、ブランドコンサルタントだと、そういういわゆる広告代理店的手法、キャンペーン的な手法は、単なるテクニックに過ぎないのではと思うようになりました。本質を見ていないといいましょうか。

 

「ブランドを」ではなく、「ブランドで」マネジメントする。

深澤:広告代理店で執行役員まで務めた上條さんの言葉だけに、重いですね。

上條: ブランドの話って、極めて本質に近くなるので、どうしても青くなります。この会社の理念は?とかビジョンは?とか出てくる。それらを真面目にどうするか真剣に考えるのがブランディングの始まりだと思うんです。それを経験していく中で、広告業界の議論を思い返すと、やや軽い感じがします。コピーライターのつくる言葉は上手だし、デザインもいい。だけど広告の言葉が腑に落ちるかというとそうでもない。下手をするとすぐに忘れられてしまう。広告会社と宣伝部の間だけでしか通用しないのではないか、と思うことがあります。

チカイケ:これまた重く、核心を突く一言ですね…。

深澤:あくまでブランドの核になる中心をつくってからでないと、プロモーションが単なるインパクト重視のものになってしまって、ブランドに寄与しないということですね。

チカイケ:インターブランドに移ってからは、あくまで本質的に、ということですよね。

上條:ある企業グループの例がわかりやすいかもしれません。当時はその企業グループが一時の厳しい状況から脱して、上昇し始めたときですが、ここで印象的だったのはそのグループのブランド・マネジメント担当の方が、「ブランドをマネジメントするのでなはなく、私たちはブランドでマネジメントするんです」とおっしゃっていたことですね。

チカイケ:と言いますと?

上條:その企業グループはブランディングに際してブランドのアイデンティティを定めているのですが、お客さまに提供する価値として、4つの価値、すなわち、安心・心地よさ・こだわり・洗練を挙げています。そしてこの4つの価値に適合した活動をグループとして行っていくというものです。つまり、「ブランドをマネジメントする」というのは、ともすればロゴの使い方や、コミュニケーションの仕方を管理するというようなことになりますが、「ブランドでマネジメントする」ということは、ブランドが事業活動の判断基準になっているということです。とても進んだ考え方だと思いました。

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「さすが◯◯らしい!」と言われるくらいまでやる。

深澤:自分たちのもたらす価値を基準に経営していくということですね。

上條:そうなんです。グループの中にはいろいろな会社がある。自分たちの会社は、ブランドが約束する価値に合っているだろうか、その価値を高めるためには具体的に何をすればいいのか、何をすべきなのか、という基準になっています。

チカイケ:広告代理店の時よりもさらに企業の内部に突っ込んだ感じですよね。

上條:はい。広告代理店の頃は、広告代理店の主な業務のひとつであるメディアバイイングにおいては、このスペースにどんな広告表現を、どのくらいの期間出すか、という議論が中心になりますし、誤解をおそれずに言うとその企業や商品・サービスをどう伝えていくか、ということが仕事になりました。しかしブランディングは広告とは全く違います。極端な話、その商品、サービス、企業の存在価値を問うことから始まると思います。とはいえ、ブランドとか、ブランディングとかの言葉もとても誤解を招きやすい言葉です。やはり、広告とかイメージやネーミングのことだと思っているかたがたくさんいます。ですから、コンサルタント時代はブランドという言葉を使わないこともありました。

チカイケ:どんな言葉を使っているのでしょうか。

上條:「らしさ」ですね。例えば「さすが◯◯らしいですね」と言われる時の「さすが」は言っている人の期待値を超えているんですよ。つまり「らしさ」をつくったら、それをさすがと言われるくらいまでやらないといけないということです。そして、「ともあろうものが」と言われないこと。「ともあろうものが」は相手の期待値を裏切ったときに発せられます。「さすがを極め、ともあろうものがと言われないこと」それがその企業や商品、サービスの「ブランドの価値」をつくりあげていくのだと思います。

 

 

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上條憲二(写真中央)
愛知東邦大学経営学部地域ビジネス学科 教授
早稲田大学第一文学部卒業後、第一広告社(現I&SBBDO)入社。マーケティング・プランナーや営業を経験した後、第八営業局長に。執行役員まで務める。2004年インターブランドジャパンにてエグゼクティブディレクターに。大和ハウスグループ、スバル、エバラ、東急グループ、清水建設など日本を代表するさまざまな企業のブランド構築に携わる。2014年から現職。

チカイケ秀夫(写真右)
パーソナル・ベンチャー・キャピタル 代表
デザイナーの経験を経て、GMOインターネットグループで新規事業などさまざまな事業を経験。2015年よりパーソナル・ベンチャー・キャピタルの代表として活動開始。スタートアップ企業にブランディングを広めることを使命に、数多くのサポートを行っている。さまざまな企業のチーフ・ブランディング・オフィサー(CBO)を務める。

深澤 了(写真左)
むすび株式会社 代表取締役
ブランディング・ディレクター/クリエイティブ・ディレクター、BRAND THINKING編集長。2002年早稲田大学商学部卒業後、山梨日日新聞社・山梨放送グループ入社。広告代理店アドブレーン社制作局配属。CMプランナー/コピーライターとしてテレビ・ラジオのCM制作を年間数百本行う。2006年パラドックス・クリエイティブ(現パラドックス)へ転職。企業、商品、採用領域のブランドの基礎固めから、VI、ネーミング、スローガン開発や広告制作まで一気通貫して行う。2015年早稲田大学ビジネススクール修了(MBA)。同年むすび設立。代表取締役就任。




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