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「築地を守る」はブランド戦略か。

ビジョンなき戦略は、ブランド戦略ではない。

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築地と豊洲の「ポジショニング」の話で終わってしまった。

東京都の小池知事が「築地(ブランド)を活かす」、「豊洲を活かす」として、記者会見を行ったのは6/20(火)。多くの論調は「財源はどうするのか?」、「具体性に欠けるのでは?」「どう共存させるのか」と疑問を問う声が多くなっています。ここはBRAND THINKINGですので、発表されている記事などからブランド論に絞って、解説を試みます。

多くの媒体が上記のような論調になる一方で、ブランド論の見地からすると、具体性以前に「ビジョンは何なのか」と問いたくなります。ビジョンなきブランド戦略は、背骨のない人間のようなもの。つまりそれは人間ではありません。記事などの各紙を見るに、小池知事の文脈からすると、「築地」にはネームバリューがあり、誰もが築地には信頼性を置いている。だからそこを市場機能も持たせた食のテーマパークにすることで、今後も築地を活かそう、と読み取れます。この発想は、豊洲の問題をヨコにおいて、ブランド論の話に絞って考えれば、当然の発想です。豊洲があるから、「ではどう差別化するのか?」という問題が出てきてしまいます。

これまでの流れを考えると、築地=BtoC&BtoB、豊洲=BtoBという構図にしようと見えてきます。築地はこれまでにどおり、プロにも一般客にも開放し、どちらかというと、一般向けに再構築。豊洲はプロ向けに絞って考えようということなのでしょう。これまでの築地のイメージがありますから、この方向感だけで差別化をしようと考えると、細かいディレクションが必要になるだろうな、と予想できます。そしてそうなった場合、都の職員にそれができるのか?という疑問も浮かんできます。

しかし、それら細かい議論に入る前に、もっと大きな方向性を打ち出すことで、「それは実現して欲しい!」と多くの人に共感が生まれる可能性が出る打ち手があります。それが先に紹介した「ビジョン」なのです。細かい議論はさておき、築地、豊洲それぞれのビジョンを先に示すべきだったのです。おそらく都の職員や小池知事は築地=「食のテーマパーク」、豊洲「プロ向けの市場」という位置付けだけでイケる!と思ったのかもしれませんが、単に「ポジションニング」の問題だけしか言及しなかったので、細かい話をさらに求められてしまった、とも言えるのです。

ブランド論的に言えば、ポジショニング云々以前に重要なのは、そのブランドの「目的」です。何のために存在していくのか。つまり築地や豊洲で言えば、ポジショニングを変えていくことで、「それが都民の何を変えるのか」に言及しなければなりません。なぜ食のテーマパークなのか。なぜ豊洲はプロ向けなのか。です。これがビジョン。そしてそのためにすべきこととしてミッションがあります。さらにいえば、どんな価値提供をしていくのか。そこまで議論して、整理した上で、ポジションニングの話をして、具体策はまとめ中です、ならもっと好意的な意見が出ただろうな、と思うのです。

ポジショニングの話が難しいのは、それを言っただけでは、単なるアイデアレベルに聞こえてしまうことです。それが実現可能なのか、どう実現するのか、を聞きたくなるのが人間。そしてポジショニングだけだと、それを実現するためには、細かいディレクションをしていかないと、実現は難しいのです。なぜなら、すでに具体的なアイデアがそこにあるから。もっと大きな背景のところがあることで、そのアイデアをも活かす具体的な方策がそれぞれのプロから出たりするものです。運河をつくるのに、運河の画期的なつくりかたを思いついたのはいいが、そもそもどこにその運河をつくるのか、それを議論していなかった、というような話に近いと思っています。

なにはともあれ、今後の東京都の打ち手に期待しましょう。

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むすび株式会社 代表取締役
深澤 了

ブランディング・ディレクター/クリエイティブ・ディレクター、BRAND THINKING編集長。2002年早稲田大学商学部卒業後、山梨日日新聞社・山梨放送グループ入社。広告代理店アドブレーン社制作局配属。CMプランナー/コピーライターとしてテレビ・ラジオのCM制作を年間数百本行う。2006年パラドックス・クリエイティブ(現パラドックス)へ転職。企業、商品、採用領域のブランドの基礎固めから、VI、ネーミング、スローガン開発や広告制作まで一気通貫して行う。2015年早稲田大学ビジネススクール修了(MBA)。同年むすび設立。代表取締役就任。

むすび株式会社




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