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炎上というムダ。

炎上はブランドにとって効果的か?

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マイナスイメージでも認知度が上がればOKか?

7/9にBuzz Feed Newsに「サントリーのビールCM炎上の舞台裏 電通社員『炎上を狙うことがある』なにが問題の本質なのか。」という記事が掲載されました。サントリーが7/4に発売開始したビール「頂(いただき)」のPR動画の内容が「卑猥」、「不快」として公開中止になり、その問題の本質は何かを、匿名の電通社員の取材をもとに構成した記事でした。

その問題の本質はさておき、ここでは「炎上」というマイナスイメージがブランドにとって及ぼす影響と、それにともなって繰り返されてしまう炎上を生み出すという構造(認識)について考えてみたいと思います。

まず、ブランドの理論には4つの資産という考え方があります。1,認知 2,知覚品質 3,ロイヤリティ 4,ブランド連想の4つです。そのうち、今回のように広告やコミュニケーションで変動可能な領域は1,3,4となるわけですが、とりわけ広告では1の数値を上げに行くことが求められます。

またテレビCMにはGRP(Gross Rating Point=のべ視聴率)という考え方があり、例えば「1ヶ月で2000GRP」という単位でテレビ広告枠が買われていきます。ある一定期間でこのGRPなら認知度◎%とれる、という数値予想がある程度ふわっと業界内にはあり、それを基準に予算とにらめっこしながら最適なGRPの消化(どの時間帯にどのくらい出稿するかのスケジュール)が決まっていくのです。だからなのか、仮に「あのCMは嫌い」という人がいても、「嫌いでも、知名度向上には役立った」と考える人も多くいるのです。

しかし、ブランド・エクイティには、1だけでなく、2,3,4とあります。2は実際に商品を手に取ってからの勝負ですし、3になるかどうかは、2がキーになった上で、コミュニケーションとの相乗効果と考えることができます。とすると、4のブランド連想はなんなのか、です。「マイナスイメージでも認知度向上に役立ったからOK」という人はここを大きく見落としています。

 

炎上の背景の横たわる認識。

ブランド連想とは、そのブランドを認識した時に持つイメージの集合体です。例えばトヨタのプリウスと居酒屋山田屋(仮名)とあったとします。プリウスであれば、トヨタ、エコカー、燃費がいい…などプリウスに乗ったことがない人でもある程度イメージを上げられるはずですが、今、編集部で勝手に名前をつくった山田屋だと、居酒屋くらいしか連想できないはずです。ブランド連想は、「強くて、好ましくて、ユニーク」であることが重要で、この結びつきが強ければ強いほど、強いブランドであると言うことができるのです。ポイントは「好ましい」イメージでないと意味がないということです。マイナスであれば、ブランドにはなりえません。

炎上を生み出す根底には、Buzz Feed Newsの記事にあるように「バズる」ことをクライアントから求められることが背景にあります。一時的な知名度向上のみを狙うことが目的となってしまう認識が、クライアント側にも、代理店側にもあたりまえに横たわっている、ということがブランド論の視点からは見えてきます。本来のブランド論の視点から考えれば、このようなことはほとんど起こり得ないはずです。また、単に表現での差別化ではなく、本当に品質やその商品開発の背景などに差別化要因はなかったのか、とも思います。商品名の「頂」→「絶頂」→「ゴックーン」という連想でつくったことが予想されるムービーですが、バズることのみを目的とするのではなく、本質的な差別化要因を深く考えておけば、ギリギリコーナーを狙ったつもりが卑猥になってしまったという表現にはならなかったのではないでしょうか。

炎上すると、もちろん話題になって手に取る人はいるでしょう。しかし、マイナスイメージであるがゆえ、それが持続的に売れるようになることは困難を伴います。今後、「頂」が売れるようになるかどうかは、このイメージのマイナスをどこで返していくか、がポイントです。伝統的にマーケティング上手なサントリーがどう出るかに期待です。

 

 

文:BRAND THINKING編集部




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