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いいものは必ずある。それを伝える発信力が自治体にはなかった。

高知県のブランド・コミュニケーション研究 【一貫性が活性化を生み出す 第1回】

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地域創生の言葉に乗って、多くの地域がプロモーションを競い合っている。その中で、もう5年も同じコンセプトでコミュニケーションをし続けているのが高知県。高知県のヒト・モノ・コトの情報発信施策として「高知家プロモーション」がスタートしたのが2013年。毎年コンセプトが変わり、プロモーションの見せ方や手法を変えることの多い自治体プロモーションにおいて一貫性を保っている稀有な事例だ。「高知家プロモーション」を立ち上げ、主導してきた一般財団法人高知県地産外商公社の小笠原氏にその背景や効果などを聴いた。

 

聴き手・構成:BRAND THINKIKNG編集部 撮影:落合陽城

 

誰もやったことがないからイノベーションが起きる。

——「高知家プロモーション」の元になったのが高知県のキャラクター「カツオ人間」のPR施策だと思うのですが、このあたりの流れや背景、課題意識についてどのようなものがあったのでしょうか。

まず高知県に限らず、地方に足りないのは、情報発信力です。みんな地方にいいものがあるのはわかっているんです。例えばどの県にも広報の部署がありますが、事実のお知らせというものが多く、プロモーションのような世間への強いメッセージ発信とは機能が違います。高知県もそうでした。きっかけは銀座にオープンした高知県のアンテナショップ「まるごと高知」の1周年の施策を考えているときでした。オープン時と違って1周年ではニュースバリューにかける。そこで目をつけたのがとある企業がつくってすでに存在していた「カツオ人間」というキャラクターでした。その頃はゆるキャラはそこまで乱立していなかった時期。頭がカツオで体が人間の一見グロテスクなこのキャラクターのインパクトを活かそうと思いました。当然のごとく、ご意見をたくさんちょうだいしました。「他県の事例を調査したのか?」、「前例は?」、「それで成功するのか?」などなど(笑)。なにも行政に限ったことではないですが、何か新しいことをやろうとすると、こういう意見はたくさん出ます。でも私がマーケティング業界で学んだ基本のひとつとして、誰もやったことがないからこそ、イノベーションが起きるんだと。いろんな方にプレゼンして、最終的には尾﨑高知県知事の判断で、ゴーサインとなりました。

 

いわゆる「ありきたり」のプロモーションでは意味がない。

——そこから「高知家プロモーション」と発展していくわけですね。

もともと「高知家プロモーション」の前身は移住プロモーションだったんです。本当に少ない予算の中、CM撮影して東京で地上波で流しました。それまで何もやっていなかったこともあって、それなりの成果が出たんです。「常々、自治体は発信力が弱い」と課題を頂いていたので、公社に転職してからずっと、「プロモーションをしっかりやる部署が自治体にも必要だ」と言い続けてきました。せっかく効果が出たんだから、もうちょっとこの移住プロモーションを広げていきましょう、という提案をして、いよいよ「高知家プロモーション」となります。これだけはやりたくないと思ったのは、いわゆる業界で言うところの「ニコパチ」。自治体のプロモーションでよくある、おじいちゃん、おばあちゃんと一緒に子どもが写って、笑顔でパチリみたいな写真に、「高知においでね」みたいなキャッチコピーを載せるような、そんなプロモーションは当然響かないと思っていました。では、高知県の良さ、強みはなんなんだろう、というのを徹底的に考えていきました。

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高知県の根底にある「良さ」は何なのか。

——他の自治体だと単に物産や観光のPRになりがちですが、人にフォーカスを当てているところに独自色が出ていると思います。

「高知家」というコンセプトにしたのは、高知って、「1回お酒を一緒に飲んだら、もう家族」みたいな県民性なんです。人懐っこいんでしょうね。そしてこれこそ、実は高知県の一番の良さであり、強みなのではないか、と思いました。また「これはいいね」という産品を探していくと、結局それをつくっている人がすごい、ということに行き着きます。この提案をしたときの県庁内のアグリーメントは早かったですね。県民、家族にフォーカスするというのなら否定できないですし、確かにそうだ、と誰もが思ってくれたと思います。それから、のちのちの展開を考えた時に、「高知家」という県民性を軸にしたコンセプトなら、移住にしても、観光にしても、物産PRにしても、何にでも展開できるな、という読みもありました。

 

第2回は8/10公開となります。

 

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小笠原慶二
一般財団法人高知県地産外商公社 プロモーション戦略局 局長
高知県出身。東京でIT業界やマーケティング業界でキャリアを積み、2010年より一般財団法人高知県地産外商公社へ。2013年4月より現職。高知家統一セールスキャンペーン推進本部総合プロデューサー、高知県商工労働部地域プロモーションアドバイザー、志国高知幕末維新博推進協議会SNSプロモーションアドバイザーなども兼務する。




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