景気上昇、大企業志向の現れ。
ミスマッチゼロに向けて努力するのが採用の本質。
12月に行い、弊社むすびから発表した入社3年目以内の新人社員へのアンケート調査。今回は「不満」をキーワードに読み解いていこうと思います。まず、入社3年目以内の新人社員の7割は会社になんらかの不満があることがわかります。その要因が何であるか、複数回答で迫ったところ、上位4つが「給与が低い」=60.3%、「労働時間が長い」=50.9%、「上司」=33.3%、「業務内容が合わない」=32.1%となりました。上司は入社して配属しないと、本人も会社も合うか合わないかはわからないので、それを除外するとまさに「採用のミスマッチ」が露呈した形となっています。
しかも、入社1ヶ月以内に不満を頂いた人が20%と最も多く、入社1年以内で80%の人が不満を頂いていることを考えると、教育というよりも、採用ですでに間違ってしまっている、という企業の課題が大いに言えると思っています。
給与、労働時間、業務内容をしっかり伝えることは、採用の基本中の基本。それが伝えられていないのか、隠しているのか、採用担当者が現場のことをわかっていないのか。いずれにしても問題はどこかにあるはずです。その3点のミスマッチを、ゼロにできないにしても、ゼロにするよう、採用時に最大限努力する(仕組みをつくる)のが採用の本質ではないでしょうか。
それらは、採用した人たちが働く現実です。その現実をより良く変えていくのは企業の努力とは言え、すぐに基本給が倍になるわけでもありません。より大きな企業のほうが有利なことは間違いありません。景気が上向き、新卒も中途も大企業志向になっている昨今では、より待遇のいい場所を求める人が多いのは今の傾向でしかたのないことかもしれません。しかし、だからこそ、現場の真実を伝え、その上で、企業はそれでも人が来てくれるように採用していかなければならないのです。
採用市場で差別化をどう行うか。それこそが採用ブランディングの本質です。前回も書きましたが、理念・価値観や戦略に共感して入社してもらうことで、会社への愛着度は増していきます。「採用ブランディング=採用市場におけるファンづくり」と捉え、リクルートマネジメントソリューションズの調査、「ビジョン(理念)浸透が業績指標を上げる起点になる」という相関関係を考慮すれば、採用時に理念や価値観を押し出すことは、差別化にもなり、その後の売上にもつながり、入社する人たちのやりがいにもつながる。これだけ本質的でWINなことはありません。
「給与を上げる」、「残業ゼロ」という短絡的な思考で採用をしないこと。現実は現実として伝え(しっかりと改善を現場では行いつつ)、自分たちにしかない「武器」=理念・価値観で勝負する勇気を、すべての企業に持って頂きたいと思います。それが採用ブランディングなのです。
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