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2017.01.11

風を見極めろ。やらなければ一生、ブランドはできない。

早稲田大学ビジネススクール教授

【永井 猛のブランドづくりの近道 第1回】

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ブランド戦略に関する注目の高まりや競争が激化するにつれ、ブランド戦略はどの企業にとっても無視できず、例えばCMOと同位置でCBOを置くなど、ブランドをマーケティングと並ぶ経営の上位概念として捉える動きも増えている。一部の大手企業だけでなく、ブランド戦略をあらゆる企業が導入していくために留意すべき点は何か。学術的なアプローチだけでなく、あらゆる企業のコンサルティングなども手がけてきた永井猛教授に聴いた。

 

使えれば化ける。でも言葉が独り歩きしている。

——「ブランド構築」が注目される中で、大手企業以外でも導入していくためにまずは、何が必要なのでしょうか。

その前に「ブランド」という言葉が、誰でも使用する日常会話になっているために、本来の「ブランド」とか「ブランド構築」という定義があってないようなものになっちゃってるよね。本質はひとつなんだけど。でも昔はこうだったとか、そんなこと言っても時代は進んでいくし、昔話みたいなことを今更言ってもしょうがい。例えばマーケティングの世界だって、同じマーケティング部という言葉を使っていながらも、「うちは市場調査が弱い」、「うちは営業が強い」など、文脈によってまったく違う意味になってしまうことはよくある。ただ、ブランド戦略は実践できれば、その企業はそうとう化ける可能性が高い。やったところ、やらなかったところで、違いが出ることは確かだ。しかし、ブランド戦略に関して、言葉はたくさん流通しているけど、本当の意味で精通している人が少ないので、実際は実践できないというところが現状だと思う。分かれ道はいつそれをやったかのタイミング。選挙じゃないけど、「風が吹いた」時の見極めが大事なんです。

 

踏み出す勇気が、ブランドをつくる。

——「風」の見極めが難しそうです。

ブランド戦略はやらなければ、当たりません。つまり、踏み出さなければブランドはずっと構築できないということです。しかし一方で、なかなかブランドができにくい業種、業界があることも事実です。例えば、生玉子のブランド。全国で約200個あると言われていますが、調査してみると、ほとんどのブランド名を知られていないということがわかります。マーケティング調査に、あるカテゴリーの中で最初に想起されたブランドを「再生知名」、いくつかブランドの選択肢を与えて知っているブランドを答えさせる「再認知名」というのがありますが、どちらでも同じ結果だったのです。一時期ブームになってたくさんつくられた「ゆるキャラ」でさえ、2,3つしか知られていないのです。ブランドができると、顧客にとって思考を節約できるという利点があります。例えば、旅行に行ってお土産を買うとき。「何でもいいんだけど、何か買いたい」と思ったことはあるでしょう。そんなとき、もらった人の「認知集合」に入っているもののほうが価値があると考えれば、当然知名度が高いものが有利になる。一度「ブランド」ができると強いというのはこのことです。

 

発展の背景は、会計的な価値とコア技術の成熟化。

——そもそもブランド論の発展の背景を、どのように考えられていますか。

いろいろ要因はあると思いますが、大きく2つです。ひとつはグローバルでM&Aが加速してきたこと。そのブランドの将来価値がどれだけあるのかで、価格が決まります。そうなると、日本の会計基準的には、どの期間で償却するか、という厄介な問題が出ます。ただし国際会計基準で見ると、それはあまり意味のないことです。収益が出た時に償却すればいい、という考えですので、グローバルでは加速してきました。もしかしたら日本で買収があまり活発でないのはここの問題があるかもしれません。もう一つの要因は、コア技術が成熟化してきたこと。高度経済成長を経て、低成長時代になって、ただいいものをつくっていれば売れた時代が過ぎ去って、ではどう売るか、つまり差別化していくか、という中でブランド戦略が発展してきました。ブランド・イメージのいい商品は、他に比べて10%や20%高くても進んで買ってもらえます。商品のコモディティ化の進展により、収益を確保するためにブランド化は促進されてきました。

 

聴き手・文:BRAND THINKIKNG編集部 撮影:落合陽城

 

第5回「一番早く、こだわりを持って、粘り強く取り組め。」

第4回「グローバルで見れば、ターゲットを絞っていない企業なんてない。

第3回「日本企業のマーケティングが近視眼ではいられなくなる日がやってくる。

第2回「商品にはライフサイクルがある。理念にはない。

 

 

永井猛

 
永井 猛

早稲田大学大学院経営管理研究科(早稲田大学ビジネススクール)教授。早稲田大学第一商学部卒業、同大学大学院商学研究科修士修了。同大学大学院商学研究科後期博士課程単位取得退学。1980年にビジネススクールの前身となる、早稲田大学システム科学研究所に着任以来、一貫して社会人教育に携わる。企業へのアドバイザー、コンサルティングも豊富に手がける。専門はマーケティング。主な著書に「富と知性のマーケティング戦略」五弦舎など。




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