経営に正しいブランディングを。わかりやすく解説|ブランド シンキング

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経営に正しいブランディングを。わかりやすく解説

2018.03.23

オイシックスドット大地のらでぃっしゅぼーや買収で考えられるブランド戦略。#2

統一ブランドをつくるとすれば。 

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まだまだ有機低農薬野菜を食べる人は少ない。

さて、業界再編を目指して(と思われる)オイシックスの相次ぐ合併、買収ですが、ブランド論的に考えれば、矢継ぎ早に行ったこの再編で、「Oisix」、「大地を守る会」、「らでぃっしゅぼーや」とこの3ブランドの展開を今後どうしていくのか?ということに焦点があたってきます。

市場的に考えれば、プレイヤーはこれでほぼパルシステムとオイシックスドット大地のみになり、2000億円規模の市場を取り合うことになります。オイシックスがなぜ業界再編を行ったのか、という理由のひとつにこの「市場の狭さ」があると思います。プレイヤーが減れば、この少ない市場を取り合うことはないのでひとまず安心。そして合併することで、競争力を増し、市場を一気に広めていこうという作戦でしょう。

少し前のデータですが、2012年にベルメゾンデッセが行った調査で、20代以上の女性で「ふだん有機野菜を購入していますか?」という問いに購入していると回答したのはたった「6.2%」。この6.2%の人たちが中心になって、2000億円の市場をつくっていると考えれば、ヘビーユーザーの人たちによって支えられていた市場であるとも言えるでしょう。

また、これも少し古いデータですが、2009年に農林水産省が「有機農業の推進について」という調査を行っていますが、全国で有機農業を行う人は増えてはいるものの、当時で5600人しかいないことがわかっています。

つまり、早急に例えばオイシックスがブランドと統一したとすると、これまでの根強いそれぞれのブランドのファンが強い抵抗感を起こす可能性があると考えるべきでしょう。だからこそ、オイシックスも大地と経営統合しても、今もまだ2つのブランドを続けています。また、それぞれのブランドの安全基準を見ると、大地が15Pほど割いているのに対し、らでぃっしゅぼーやが9P、Oisixが3Pと、よく言われるように、「大地」と「らでぃっしゅぼーや」の基準の厳しさが伺えます。

さらに、有機農法を行う農家はどこも個性が強いゆえ、ブランドがなくなると取引を止めてしまう可能性を考えられます。だからこそ慎重に運ばねばならないでしょう。

経営戦略的に見れば、もともと安全基準の厳しい「大地」や「らでぃっしゅぼーや」の野菜を、Oisixのマーケティング力で売る、という方法が一番手っ取り早いように思えます。しかし、有機低農薬野菜の消費拡大を目指すのであれば、別名の3ブランド展開はわかりにくさを感じさせてしまいがちです。そもそも20代以上の女性の6.2%しか使用していないのですから。またそれぞれのブランドでプロモーション展開を行ったとしても、カニバリを起こしてしまう可能性も高くなるでしょう。

そう考えれば、統一ブランドのもとに、それぞれの特徴を残しつつ拡張した3ブランドを展開する方法も考えるべきでしょう。

例)
Oisix-Radish:厳しい基準を突破した高品質のもの
Oisix:これまでのOisix基準のもの。
Oisix-Daichi:利益の一部が自然を守る活動に使われる

なども考えられるでしょう。こうすれば、Oisixお得意のプロモーションの強みも出てきます。統合したからには、有機低農薬野菜の拡大を視野に入れているでしょうから、今はじっくり3ブランドのコンセンサスをとりながら、いずれこのような形態へと変化していくのではないか、と考えられます。

次回は統一ブランドをつくらない可能性について言及したいと思います。

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むすび株式会社 代表取締役
深澤 了

ブランディング・ディレクター/クリエイティブ・ディレクター、BRAND THINKING編集長。日本ブランド経営学会副会長。2002年早稲田大学商学部卒業後、山梨日日新聞社・山梨放送グループ入社。広告代理店アドブレーン社制作局配属。CMプランナー/コピーライターとしてテレビ・ラジオのCM制作を年間数百本行う。2006年パラドックス・クリエイティブ(現パラドックス)へ転職。企業、商品、採用領域のブランドの基礎固めから、VI、ネーミング、スローガン開発や広告制作まで一気通貫して行う。採用領域だけでこれまで1000社以上に関わる。2015年早稲田大学ビジネススクール修了(MBA)。同年むすび設立。地域ブランディングプロジェクト「まちいく事業」を立ち上げ、山梨県富士川町で開発した「甲州富士川・本菱・純米大吟醸」はロンドン酒チャレンジ2018銀賞、2019金賞、フランスKura Master2019金賞。埼玉県戸田市では「埼玉戸田・かけはし・純米吟醸微発泡」と、立て続けに日本酒をプロデュース。山梨県都留市ではネクタイブランド「TSURUIKI」の立ち上げも行う。クリエイティブ・ディレクター、コピーライターとしてFCC賞、日本BtoB広告賞、山梨広告賞など。雑誌掲載、執筆多数。著書は「無名✕中小企業でもほしい人材を獲得できる採用ブランディング」(幻冬舎)、「知名度が低くても"光る人材"が集まる採用ブランディング完全版」(WAVE出版)。

むすび株式会社

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