経営に正しいブランディングを。わかりやすく解説|ブランド シンキング

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経営に正しいブランディングを。わかりやすく解説

2017.06.09

クレドはいくつがベストか。

企業としての「意志」が現れる。

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大事なニュアンスは残したいが、なるべく数を絞って覚えやすい方がいい。そのせめぎあい。

ブランディングの中でも、企業ブランディングになると、その始まりは理念づくりからになります。ビジョン(=顧客とともに目指す未来)、ミッション(=そのためにすべきこと)ときて、バリュー(顧客に約束する価値)やクレド(行動指針)となるわけですが、この2つの個数について議論になることがしばしばあります。

ワークショップを経ると、その会社のバリューやクレドにすべきこと、つまり表現すべきことは自ずと絞られます。一番簡単な方法は、この絞られたグループごとにワーディングするということです。だいたい、7〜15個くらいの間に収まることが多いと実感しています。そしてこの個数のまま、理念浸透に入っていく企業が多いことも確かです。

しかし、会社によっては、もっと絞りたいという会社もあります。そうなると、表現すべきグループを統合していくことになります。自然とできたグループのままが一番自然な形なのですが、「覚えやすく」するために絞る、という選択はもちろんありです。その場合、統合されたグループは、微妙なニュアンスを失うということとも隣り合わせです。

ワーディング(コピーライティング)の観点で言えば、複数のものを統合すればするほど、個性を失いがちになります。そのグループごとの最大公約数を表現しようとするからです。だから、言葉の個性=グループのニュアンス=その企業の価値観を尊重するならばそのままのグループにしておくほうが懸命です。

統合すると、もともとの価値観が、そのままよりは伝わりにくくなりますので、新しく入社する人たちにはどうしても1つのフレーズから2つの意味をとりにくくなります。それでもなお、という理由もありますので、その場合は、何と何を統合するのか、ということをすりあわせつつ、なるべく個性が立つようなワーディング(コピーライティング)をしていくということになります。

ワークショップを経て、自然と出てきた価値観が15個なら、それを統合したいと思う気持ちもまた、その企業の考え方です。私たちのような会社がその要望を聞きながら、なるべく統合しても、もともとの意味を失わないよう、パンチの効いた、その企業らしい言い回しを探る旅に出ることになります。

この議論に、答えはありません。あるのは、そのまま出てきた個数にすることと、グループを統合して個数を減らすことの、プラスとマイナス面を考慮して、どっちにしたいか、という企業としての「意志」です。

ブランディングとは、どこまでいっても意志なんですね。

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むすび株式会社 代表取締役
深澤 了

ブランディング・ディレクター/クリエイティブ・ディレクター、BRAND THINKING編集長。日本ブランド経営学会副会長。2002年早稲田大学商学部卒業後、山梨日日新聞社・山梨放送グループ入社。広告代理店アドブレーン社制作局配属。CMプランナー/コピーライターとしてテレビ・ラジオのCM制作を年間数百本行う。2006年パラドックス・クリエイティブ(現パラドックス)へ転職。企業、商品、採用領域のブランドの基礎固めから、VI、ネーミング、スローガン開発や広告制作まで一気通貫して行う。採用領域だけでこれまで1000社以上に関わる。2015年早稲田大学ビジネススクール修了(MBA)。同年むすび設立。地域ブランディングプロジェクト「まちいく事業」を立ち上げ、山梨県富士川町で開発した「甲州富士川・本菱・純米大吟醸」はロンドン酒チャレンジ2018銀賞、2019金賞、フランスKura Master2019金賞。埼玉県戸田市では「埼玉戸田・かけはし・純米吟醸微発泡」と、立て続けに日本酒をプロデュース。山梨県都留市ではネクタイブランド「TSURUIKI」の立ち上げも行う。クリエイティブ・ディレクター、コピーライターとしてFCC賞、日本BtoB広告賞、山梨広告賞など。雑誌掲載、執筆多数。著書は「無名✕中小企業でもほしい人材を獲得できる採用ブランディング」(幻冬舎)、「知名度が低くても"光る人材"が集まる採用ブランディング完全版」(WAVE出版)。

むすび株式会社

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