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2017.03.29

リーダーが目標をどこに置くかで、組織の行く先がすべて決まる。

【ブランドは見えない組織風土でつくられる 第3回】

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「従業員はブランドを演じる存在になれ」とは、今日のブランド論を体系立てたアーカー氏が書いた言葉だ。その後、広告を中心とするプロモーションやブランド・コミュニケーションの研究や実践は進んだものの、肝心な組織風土や組織行動に関しての研究は、ブランドの見地からは進んでいるとは言い難い。今回は、企業理念が組織風土をつくる、と考える組織人事戦略コンサルタントでビジネス・ブレークスルー大学准教授、三城雄児氏に聴いた。

 

人は育つと信じ、期待をかけろ。

——「任せ切る」というマネジメントは、とても難易度が高いように思えます。

リーダーが何でも先頭に立ってやらなければならないという恐怖心を捨てられるかが、分岐点になると思います。このまま行くと、まずい方向に行くのではないか。自分が軌道修正しないと、品質がこのままだと悪くなんじゃないか。など、そういう恐怖心はどんなリーダーにもあると思います。もちろんそれで品質は一時的には悪くなるかもしれません。リーダーが品質を管理している方が、品質は一定に保たれるでしょう。しかし、本当に自分が管理しないとその品質は保てないのか、ということです。自分が異動したり、やがて定年を迎えれば、いずれは引き継がなくてはならなくなります。社長だっていずれ引退する時が来るのです。品質を保った上で、人を育てていくにはどうすればいいのか。組織論的な背景から言えば、「その人はちゃんと育つ」という期待や自信をまずはリーダーが持つことが重要なのです。しかし、市場が違えば「任せる」マネジメントばかりが正しいとも限りません。日本も高度経済成長期には、リーダーが先頭に立って、いかに量をこなすか、決めた方針を実行できるかが大切でした。それは需要が多かった時代の話です。今、日本は成熟期。人口も減っていく中では、創意工夫が必要です。背中を見ろ、というマネジメントだけではうまくいくはずがありません。

 

目標設定では、「なぜやるのかを」すり合わせる。

——「任せ切る」というマネジメントにコツはあるのでしょうか。

マネジメントはよくアメとムチといいますが、私は今の日本の市場はそうではなく、「任せるマネジメント」が重要だと考えています。そうしないと人はクリエイティブになれないからです。そのためには、目標設定とコミットメントの時間をたくさんとってもらことが必要だと考えています。実現したい像を、リーダーと部下がすり合わせることが重要で、そのゴールを「何のためにやるのか」というWhyレベルまでさかのぼってすり合わせることが重要だと思います。とかく、「どのように-How」や「何をするのか-What」レベルで目標設定をしがちですが、それだけでは、ただ「やる」ことに終止してしまって、創意工夫が出てきません。もちろんこの目標管理のしかたは業界によっても違います。例えば、鉄道の運転手であれば、ルール通りでなければ困ります。人の安全に関わるからです。どれだけ世の中が変わっても、ルールマネジメントが必要でしょう。しかし少し視野を広げて、旅行業界とすると、どうでしょうか。競合がひしめき合っています。これをルールマネジメントで、「学校には毎月4社訪問しなさい」などとすると、とたんに受注できなくなりますが、自由に目標設定させると、自分たちで考えていきます。つまり、任せるマネジメントのほうが組織のリーダーとしての難易度は高くなるということです。

 

目標設定は、リーダーの能力そのもの。

——目標設定には、リーダーの能力が如実に現れそうですね。

組織のクリエイティビティを引き出す「任せきるマネジメント」をしようとすると、目標設定のしかたをルール化することは本末転倒です。それはリーダーとしての仕事を縛ることになるので、究極、組織を率いるリーダー(=マネージャー)はいらなくなるということです。部下と目標を合意し、目標を立て、魅力的なゴールに導く技術こそ、リーダーのスキルそのもののはずです。ただこれは組織にとって一番難しいテーマであると思います。目標設定は、つまり組織の一人ひとりのモチベーションを上げていくことです。こうすればみんながやる気になる、という明確な答えがありません。数字中心の目標にすればするほど、やることは明確になりますが、やりたくない人は増えます。しかし、数字を曖昧にすれば、今度は設定した数字に行かず、苦労することになります。あるとき、稲盛和夫さんも「目標設定に悩んでいるということは、経営者の能力そのもの。悩まずにこうだと決めるよりいい。どういう目標を立てればみんながやる気になるのか。大事なのは目標次第で組織がかなり変わることを知っておくこと。それをあなたがやるんだ」ということをおっしゃっていましたね。

 

第4回は4/5(水)に公開します。

 

聴き手・文:BRAND THINKIKNG編集部 撮影:落合陽城

三城雄児

株式会社JIN-G 代表取締役
三城 雄児

早稲田大学政治経済学部卒業後、株式会社富士銀行(現みずほ銀行)入行。株式会社マングローブ、株式会社日本経営システム研究所、ベリングポイント株式会社(現プライスウォーターハウスクーパーズ株式会社)にて、組織人事戦略コンサルタントとして活躍。2009年、株式会社JIN-G設立。ビジネス・ブレークスルー大学准教授。

株式会社JIN-G




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