経営に正しいブランディングを。わかりやすく解説|ブランド シンキング

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経営に正しいブランディングを。わかりやすく解説

なぜ地域活性では、活性しないのか。

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この町は、誰にファンになってもらいたいのか。

政府が地方創生に力を入れてから、地域でのビジネスが熱くなっています。地域ごとでの取り組みも増えてきているように思います。やはり政府が動くと、一気に世の中動きますね。ブランド構築という観点で見た場合、現在の地域ブランドの構築は、大企業と中小企業のそれのように、まったく同じ構造が見て取れます。

つまり、お金を持っているところは、ますます予算が使え、お金がないところはできない。これでは、中小企業がブランド構築ができないということと同じように、結局予算勝負になる。だから県レベルではできても、市町村レベルではできない、という構造になります。これではもはや理論でもなんでもありません。

なぜこういうことが起きるのかというと、ブランドに対する誤った認識があるからです。

ブランド構築=統一されたプロモーション

という認識は、大きな間違いです。プロモーションはブランド構築を行うための一部分の手段でしかありません。これを「目的」にするから、効果測定も曖昧になるわけです。

ブランド構築とは、「売れ続けるためのしくみづくり」であり、であるならば、ファンがいないと売れ続けないので、つまりは、ファンづくりです。

そうすると、地域にとって、誰に「ファン」になってもらいたいのか。これを決めなければなりません。そしてそれを決めることは、地域活性の目的を決めることにも他なりません。

例えば、今、住んでいる人がもっと好きになる町にする。居住者を増やす。観光人口を増やす。そうやって目的が決まるわけです。

一方で、そもそもどんな町にするのか、というビジョンも非常に重要です。これはどの町も曖昧でボヤッとしていて、同じようなことを言っているところが多いですが、どんな人達と、どんな町を目指したいのか。地域ブランド構築には、この視点が非常に重要なのですが、どうも目立ったプロモーションばかりに目が行きがちで、その派手なプロモーションの結果、何が起きたか、という議論ばかりが注目されがちな嫌いがあります。何度も書きますが、それでは市町村レベルでの再現性がありません。また、プロモーションを「当てる」ところに目的が行きますから、どんどん派手になります。表現のみでの差別化は、無駄にお金を浪費することを誘発します。

ブランド力は、社員の行動とツールの両輪で上がって行きます。地域の場合、役場の職員が「社員」にあたるのか、町の有志組織が「社員」になるのか、ここがまず曖昧になりますが、例えば、居住者を増やす、という目的を役場の施策として決めた場合、社員に当たるのは当然、役場の職員になります。そうすると、彼らの行動とプロモーションツールは一貫性を持たなければなりません。これがブランド力となるわけです。そして、一貫性を持つために、ターゲットとビジョンが必ず必要なのです。

では現実的に、役所でこれができるのか、というと…、難しいと言わざるを得ません。希に強烈なリーダーシップを持つ職員の方がいて、できる場合もあるとは思いますが、再現性がありません。

 

まず私たちが自治体に頼らない決意を。

ひとつ言えるのは、いつまでも私たち自身が自治体に頼ってはいけない、ということです。自治体の地域活性政策ありきで考えるのではなく、その地域をブランディングしたい人が立ち上がればいいと思います。そうすれば、自治体は本当にすべき政策に予算も投下できるし、効果も上がるのではないかと思います。つまり、自治体に頼らずにブランド構築を行う。もっと簡単にいえば、地域資産を活かしたビジネスモデルを開発し、その地域に根付かせることができれば、それは立派な地域ブランド構築なわけです。

これと似たことは実は東京ではよく行われています。ビジネス街で休日に歩く人がいなかった丸の内を、おしゃれで休日も人で溢れかえる街へと変えたのは三菱地所。渋谷は東急グループが再開発を行っています。これはなにも自治体が決めたわけではなく、それぞれの企業が街をどう変えたいのか、という意思を持ち、実行することで街のイメージを一変させていきました。

もちろん、同じことを田舎の町ではできません。そこにマーケットの能力があるから大規模開発ができたわけです。しかし、どんな町にも必ずいいところがあります。そしてどんな小さな町でも、埋もれている資産はあります。それを発掘し、広めていくことが民間主導で主体的にできれば、最強の地域ブランド構築になるのではないかと思います。

これらを先端でやっている地域はどこか、と考えると、「気仙沼」なのではないでしょうか。気仙沼ニッティングはもともとその地域にあった編み物の文化を捉え、事業として成立させていきました。しかしこのおかげで、気仙沼=ニットという新たなイメージが醸成されていると思います。そして一番素晴らしいのは、雇用が生まれ、利益が生まれていること。つまり自治体に税金が入るのです。だから継続性がある。従来の自治体プロモーション中心の地域ブランド、地域活性の在り方がバージョン1.0だとすると、この形は確実に2.0ではないかと思います。

 

文:BRAND THINKING編集部

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