経営に正しいブランディングを。わかりやすく解説|ブランド シンキング

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経営に正しいブランディングを。わかりやすく解説

400店より400年。愛の深いコッペパンを、今日も丁寧につくっていく。#1

【吉田パンのブランド論】第1回

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「吉田パンを食べて吉がくる・・・そんなコッペパンでありたい。」というコピーを掲げ、朝から行列ができるほどの人気を博すコッペパン専門店が東京・亀有にある。その名も、吉田パン。盛岡では知らない人はいないとまで言われるコッペパンの老舗「福田パン」に師事し、多くのファンから愛されるコッペパンをつくりつづける株式会社吉田屋 代表取締役 吉田知史氏に、パンづくりに対するこだわりや想いを訊いた。

 

 

聴き手・文:BRAND THINKIKNG編集部 撮影:落合陽城

 

この味を、愛を、たくさんの人に届けたい。

———–創業の背景を教えてください。

義理の弟が盛岡生まれ盛岡育ちで、ある時「盛岡のソウルフードを食べてもらいたい」と言って、盛岡の「福田パン」のパンを買って持ってきてくれたことがあったんです。あんバターのコッペパンでした。私は、あんこもコッペパンも大好き。手に乗せたときの重量感とそのおいしさに衝撃を受け、感動したんです。「こんなに愛の深いパンは食べたことがない!」そう感じました。そして、このパンのおいしさを多くの人に届けたいと思ったんです。今から10年くらい前のことです。その頃私は、吉田屋という会社を立ち上げていたのですが、もともとアパレルの会社でしたし、その他にも広告やプロモーションの事業などをしていました。福田パンは、地元盛岡では知らない人はいないほどのコッペパンの老舗です。地元のスーパーマーケットや学校給食にも採用されています。まさに盛岡のソウルフード。東京の人にもこのコッペパンを食べてもらいたいなと思ったのですが、福田パンの現代表 福田潔さんとお会いするまでに、そこから3、4年かかってしまいました。

 

思いがけずスタートした、「吉田パン」。

———–福田さんとはどのように知り合われたのですか?

どうしたら福田さんと知り合えるか、それこそ盛岡に行ったり、本店を見に行ったりいろいろしたんです。ようやく出会えたのは、私が39歳のとき。ただ情熱だけで「教えてください!」と言うのは、なんとも弱い経営者だと思ったので、ビジネスとしてこういうイメージで福田パンをやらせてほしいとお話したんです。ですが、それはやれないと断られてしまいました。でも、吉田さんにならパンのつくり方を教えても良いよと言われ、パンは日持ちがしないから、吉田さん自身がパンをつくるしかないと言われたんです。パン屋をやりたいと自ら申し出ておきながら、自分がパンをつくることになり「パ、パ、パン!?」と迂闊にもビックリしてしまいました(笑)。なぜなら最初は、業態をそのまま持ち込んでやりたいと思っていたからです。自らパンをつくる。そこまで想像していませんでした。そして、「吉田さんがつくるんだから『吉田パン』だ。」と福田さんに言われたんです。そう言われても、私にはパンづくりの知識もなければ、機械だって持っていません。大慌てで準備をスタートさせました。

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400店より、400年続けられるか。

———–そこから5年。ロゴやポスター、HPなどにもすごく気を配られています。

もともとプロモーションの仕事をしていたこともあり、そこは大切にしています。ロゴの「Lucky Bread」という表記は、もともと「吉田ブレッド」だったんです。仲間のコピーライターが、コピーやロゴ周りを一緒に考えてくれているのですが、その彼が入稿直前になって「吉田ブレッドじゃない!吉田の吉(よし)は吉(きち)だ!Lucky Breadだ!」と言って、すぐにつくり直して入稿したんです。ちなみに、福田パンには街の方たちがつけてくれた「福田パンを食べて福がくる」というキャッチコピーがあるんですね。うちのキャッチコピーはどういうものがいいだろうと考え、「吉田パンを食べて吉がくる・・・そんなコッペパンでありたい。」に決めました。写真のパンは、オープン前に練習でつくったパンです。まだ自信がない時のパン。だから、コピーも言い切りの表現ではなく、柔和なイメージが良いなと思ったんです。このビジュアルは5年使ってきましたが、4月の5周年を機に一新させました。少しずつではありますが、吉田パンを世の中に知っていただけた部分もあるので、次の吉田パンを表現していけたらと思っています。400店より、400年続けられるコッペパン屋を目指す。それが私たちの目標です。

 

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株式会社吉田屋 代表取締役 吉田知史

専門学校を卒業後、アパレル小売店を起業。その後、2009年に株式会社吉田屋を設立し、ファッション事業や広告・プロモーションに関わる事業を展開。ある時、義理の弟にもらって食べた盛岡「福田パン」の「あんバターサンド」に衝撃を受け、福田パンに師事して独自のノウハウを教わる。フランチャイズや暖簾分けではなく、福田パンの精神や心意気を受け継ぐ「同志」として、2013年にコッペパン専門店の「吉田パン」をオープン。以来、朝から行列ができるほどの人気を博している。

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