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経営に正しいブランディングを。わかりやすく解説

日本酒から、地域のストーリーを伝えたい。#2

【SAKE storyのブランド論】第2回

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2016年Mr.SAKEコンテストグランプリ。飲食業界の異端児とも言われ、常に新しいことを考え、即実行する橋野氏。類まれな行動力により酒蔵さんと共同開発した「酒パーク(リング)」などで日本酒業界に新風を吹き込んできました。2017年8月に独立。「旅するように日本酒を」をコンセプトにした「SAKE story」を五反田にオープン。定期的に地域を限定して、その土地だけの日本酒を出すお店だ。代表の橋野元樹氏に「SAKE story」や飲食業界への思い、今後の展望をお話いただきました。

 

聴き手・文:BRAND THINKIKNG編集部 撮影:落合陽城

 

縁あって、最初は福島で。 

———–SAKEstoryで最初に福島特集をやろうとした経緯は?

東日本大震災の少し前から、母のお店を地域特化型のお店にしようと思っていたんですね。東京出身の僕なんですが、美味しいお酒も多いし色々なご縁があった会津に特化してみたいなと調べていて、さて生産者さん巡りに行こうかなと思っていたら3・11(東日本大震災)が起こり延期していたのです。そうしたら、その4月に会津娘と写楽の蔵元さんが酒販店さんのご案内で来て下さいまして、生まれて初めて蔵元さんをお店にお迎えすることになりました。当時、店でお二蔵のお酒を扱わせて頂いていたので、酒屋さんが訪れるお店としてセレクトして下さったみたいです。震災の影響もあり、蔵元さん総出でのイベントを数多く行っていた福島県の酒蔵の蔵元さん達とはお会いする機会も格段に多くなりどんどん通うようになっていきました。

そこで僕が感じたのは蔵元さん同士が意見や情報をシェアし合い、お互いにどんどんとステージを上がっている様でした。福島県は今では五年連続新酒鑑評会での金賞の数が日本一多い県なのですが、蔵元さん達の頑張りを片隅からですが見て来た自分にとっても、飲食店同士が情報を交換し合いお互いに高みに行く、という今のスタンスを作る土台になった気がします。今や全国区レベルの人気銘酒になった蔵元さんたちですが、皆様を見ていて思ったのはやはり全員郷土愛を持っていて、お酒だけでなくお酒を切り口に地元を盛り上げたいと皆さん思ってらっしゃるんだなぁと感じていたんです。お店の「旅するように日本酒を」というコンセプトはそんなところからヒントを得て考えました。

 

その地域のストーリーを、日本酒に乗せて。

———–蔵元さんが来られて一緒に日本酒会をやっているとお聞きしましたが?

以前のお店では、イベントには蔵元さんの知り合いしか呼ばないし、1年で、1回ペースでしかやっていなかったんです。イベントで満席にするのはそんなに難しくないんです。でも、イベントをやってお店をいっぱいにしてれば良いと思ってしまうのはなんか違うかなと思いまして…。

蔵元さんの会をすることで、お客さんや僕らだけでなく蔵元さんにも喜んでもらおうと思うと、そう何度も僕にはできなかったんです。

この前、香川県の川鶴さんの社長さんに来ていただいて、日本酒会をやりました。以前のお店でも使わせていただいたりして、ずっと知っていたのですが、福島県を対象にすることで、しばらく「SAKEstory」では扱わないわけです。やはりご縁は大切にしていきたいので、1日限定などの括りで違う地域の日本酒会も同時にやっていくことにしました。

その地域の日本酒会をやっていくことで、昔ながらの、その土地ならでは料理や食材のおいしさに気付けます。今回は会をするにあたってお聞きした「いりこ(煮干し)」の唐揚げの美味しさも知ることができましたし、会を繰り返すことで縁を繋ぐだけでなく、地方の美味しいもののデーターベースも出来てくるので嬉しいですね。

 

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付加価値で勝負したい。

———–お客様や酒蔵さんの想いを、しっかり考えてやってらっしゃるんですね。

今、ご来店されるお客様は30代〜60代の方で、知的好奇心旺盛な方が多いのですが、お酒のスペックよりもストーリーに興味を持って下さっているのをひしひしと感じます。また、オリジナルデザインや会津塗りのお猪口などでお酒を出すとそのこと自体に喜んで頂けたり、日本酒の蓋の磁石を作ってプレゼントするとたいそう喜んで頂けます。ビールでも日本酒でも同じ銘柄の物であれば安く飲めた方が良いのは誰でも一緒だと思うのですが、そこに製品価格のパフォーマンスだけでない物を付け加えるのは各お店が選択できる事だと思うんです。そのやり方は千差万別ですが、お店側とお客さん側の理想がマッチしたら最高である訳で、僕の場合はお酒の価格やスペックではなくストーリーに特化したのも、そう言った事に興味のあるお客様に来て頂ければお互いに嬉しい関係性になれるかな。と思ったからでした。

ちなみに、日本酒の仕入れ価格はインポーターからも買えるワインとは違って定価は一般消費者の方が店頭で買う価格と同じです。「あそこで飲めばグラス300円なのに」と言った、まず金額ありきの見方をされちゃうと、もはやどうしようもないのですが、そこに付加価値がついてお客様の満足度が上がれば、僕らもゆったりお店を回すことが出来たり、お店をしっかり休んで次の特集のために勉強に使えたり、福利厚生も充実します。お客様にも喜んでいただけて、蔵元さんにも喜んでもらえる。そして、働く自分達にも良い。そんなサイクルができたら理想ですね。

 

(つづく)

 

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SAKE story 代表 橋野元樹

2016年 Mr.Sakeコンテストグランプリ優勝。 利き酒師でもある橋野氏。 日本酒をより身近に楽しく、日本酒を通して蔵元さんやその地方、日本文化を伝えていくことに奮闘中。三角形の日本酒チャートの開発や、炭酸注入の「酒パーク(リング)」「チェイ白湯普及の会」「酒蓋マグネット」等々を考案する発明家。若い頃は世界中を旅していた。趣味はグルメ、読書(特に時代小説と漫画)。将来はマンションで猫と一緒に住みたいと思っているお茶目な方。




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