経営に正しいブランディングを。わかりやすく解説|ブランド シンキング

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経営に正しいブランディングを。わかりやすく解説

オフィスを変えて、理念を言語化。大きな突破口になった。#1

【グッドパッチのブランド論対談 前編】

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2011年当時、日本にはUIデザインに着目し、Webサービスを制作する企業はほとんどなかった。ほんの数年間で100名以上の社員が在籍するまでに成長し、今では東京の他にベルリン、ミュンヘン、台北にもオフィスを構える。少人数で活動することの多いクリエイティブの分野で、大きく成長を遂げるグッドパッチ。その秘訣や考え方をパーソナル・ベンチャー・キャピタル代表で、BRAND THINKINGでも連載を持つチカイケ氏(写真右)が迫った。

 

聴き手:チカイケ秀夫 構成:BRAND THINKIKNG編集部 撮影:落合陽城

 

日本はデザインを軽視している。

チカイケ: 2011年にグッドパッチを起業されていますが、もともと考えていたことだったのでしょうか。

土屋:30歳までに起業すると決めていて、会社で働きながら チャンスを伺っていました。その頃、DeNAの創業者の南場さんの講演をたまたま聴く機会があったのですが、DeNAがちょうどサンフランシスコの会社を買収した頃で、「これから起業するみなさんは、日本人だけのチームにこだわるな。多国籍で考えないと世界は目指せない」という話を聴いて、翌日にはシリコンバレーに行こうと決めていました(笑)。

チカイケ:翌日ですか!?

土屋:英語も話せないし、海外旅行さえも行ったことがない。おまけに、妻と生まれたばかりの子どももいる。条件としては行っちゃいけないですよね(笑)。

チカイケ:そのときの経験が、起業につながっていると。

土屋:2011.3.11にサンフランシスコに降り立って、いろんな人種の人たちの中で働かせてもらいながら、毎日イベントに出て、ピッチを聴いていました。そこに参加するスタートアップのサービスのクオリティがベータ版にも関わらずとても高い。日本にいるときから、海外のサービスのクオリティが高いのは見ていたのですが、ベータ版ですでにUIまで作り込まれていることに驚きました。日本のサービス開発現場はデザインを軽視している。とにかく詰め込んじゃえ、みたいな多機能なものが多い。日本のサービスもユーザー体験から考えることを主軸に、ユーザーにとって余計なものを極力そぎ落としていかなければならないと思いました。

 

グノシーで一気に仕事が舞い込んだ。

チカイケ: 3ヶ月後にシリコンバレーから帰ってきて、起業するわけですね。

土屋:起業当初は、2つ事業があったんです。UXとUIのコンサル、そしてコアワーキングスペースの事業。起業当初にしては多すぎる。なので途中から絞って、明確にしようと。だから、UIデザインというのを全面に出して、顧客体験(上流工程)からつくる会社です、とシンプルに説明するようにしていましたね。

チカイケ:創業当時の苦労もあったんじゃないでしょうか。

土屋:最初は秋葉原の小さなオフィス。1Fがラーメン屋だったので、1日中ラーメンのいい匂いがしていましたよ(笑)。UIなんて日本のビジネスシーンではほとんど誰も言っていなかった状態なので、仕事も少なかったですね。キャッシュアウトギリギリのところまで追い詰められたときに、サンフランンシスコで知り合った「グノシー(Gunosy)」の創業メンバーから相談が来ました。その時提案したUIが多機能なものでなく、とてもシンプルだったことが評価され、メディアにも取り上げられたりして、一気に仕事の依頼が増えました。

チカイケ:スタートアップにはそういう劇的なことが起こります(笑)。

土屋:そこから1年で一気に20人くらいまで社員が増えました。

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30人を超えて、軋轢が生まれた。

チカイケ: 一般的に人数が増えると、価値観が多様になるので社内での軋轢が出てきたりするわけですが、グッドパッチはどうですか。

土屋:30人になった頃から出てきましたね。それまでまだビジョンを明文化していなかったんですよ。もちろん、デザインの力を証明したいとか、UIの領域でナンバーワンになるとか、そういう想いは当然ずっとあったんです。初期メンバーは、グノシーのユーザーだった人がほとんどで、僕が書いているブログもしっかり読んでいました。まだ明文化していない思想に共感している人を採用してたんですね。

チカイケ:当然、経験のある方が中心ですよね。

土屋:いえ、大半は未経験。共感してくれたかどうかを一番重視していたので。それに当時はUIに経験豊富な人なんて市場にほぼ存在していませんでしたから、育てる前提での採用でした。

チカイケ:最初はそれでうまくいったけど、それが30人を超えて・・・

土屋:雲行きが怪しくなりました。会社の方針が見えない、という不満を持つ人が出てきたんです。そんな折、オフィスがパンパンになったので、移転をすることになりました。まだ秋葉原に当時はいたのですが、広くして家賃がアップするなら他のエリアでもいいかな、と渋谷も検討したんです。僕は秋葉原でもよかったんですが、ほとんどのメンバーが渋谷がいいと(笑)。秋葉原と渋谷じゃ、文化が違う。会社の場所で持たれるイメージも、育まれる文化も変わると思ったので、思い切ってオフィスに投資しました。サンフランシスコ時代に衝撃を受けた社名の由来でもあるdogpatch lobsのコアワーキングスペースをイメージして、ガレージっぽく。当時としては先進的だったと思います。そして渋谷移転に合わせて丸1日営業日を潰して、全員でグッドパッチの10年後を考えるワークショップをやりました。それをきっかけにビジョンとミッションを明文化しましたね。

チカイケ:それがいわゆる「30人の壁」の突破口になったんですね。

 

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土屋尚史(写真左)
株式会社グッドパッチ 代表取締役社長/CEO
1983年生まれ。Webディレクターとして働き、サンフランシスコに渡る。btrax Inc.にてスタートアップの海外進出支援などを経験し、2011年9月に株式会社グッドパッチを設立。UIデザインを強みにしたプロダクト開発でスタートアップから大手企業まで数々の企業を支援。2015年にベルリン、2016年には台北に進出。自社で開発しているプロトタイピングツール「Prott」、フィードバックツール「Balto」はグッドデザイン賞を受賞している。

チカイケ秀夫(写真右) パーソナル・ベンチャー・キャピタル 代表 
デザイナーの経験を経て、GMOインターネットグループで新規事業などさまざまな事業を経験。2015年よりパーソナル・ベンチャー・キャピタルの代表として活動開始。スタートアップ企業にブランディングを広めることを使命に、数多くのサポートを行っている。さまざまな企業のチーフ・ブランディング・オフィサー(CBO)を務める。




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