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自分で予算をつくりだすキャンペーンのしくみをつくりたい。

高知県のブランド・コミュニケーション研究 【一貫性が活性化を生み出す 第3回<最終回>】

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地域創生の言葉に乗って、多くの地域がプロモーションを競い合っている。その中で、もう5年も同じコンセプトでコミュニケーションをし続けているのが高知県。高知県のヒト・モノ・コトの情報発信施策として「高知家プロモーション」がスタートしたのが2013年。毎年コンセプトが変わり、プロモーションの見せ方や手法を変えることの多い自治体プロモーションにおいて一貫性を保っている稀有な事例だ。「高知家プロモーション」を立ち上げ、主導してきた一般財団法人高知県地産外商公社の小笠原氏にその背景や効果などを聴いた。

 

聴き手・構成:BRAND THINKIKNG編集部 撮影:落合陽城

 

今を知るから、先に行ける。

——プロモーションを行ったあとの効果測定などはどのようにされていますか。

KPIとして設定しているのは、プロモーションの認知度を35%にすることです。私たちがプロモーションを行うことで、高知県の観光客の増加やその他高知県に関連する意向度がポジティブな傾向にある、と出ています。初年度で移住ランキング6位まで上昇しました。また先にも述べた通り(※前回参照)、1年目で高知県内の認知度は9割を超えました。プロモーション効果の測定については50の設問から分析する調査を毎年2回行っています。ここまでの効果測定はおそらく他の自治体ではやっていないのではないでしょうか。調査することで自分たちの現在地がわかります。それを把握して、目標設定をして、いわゆるPDCAサイクルをまわしていきます。でも多くの自治体や企業はPDだけやってCAまでやっていないんじゃないでしょうか。しかし、高知市内が「高知家」のロゴで溢れかえっている一方で、少し地方に行くとロゴを見かけることは極端に少なくなっていきます。とある地域の青年会のみなさんと話していて、「高知家のプロモーションで何か良くなったか?」と聴いても、なかなか明快な答えが返ってきませんでした。認知度・知名度が上がってよかった、ということだけでなく、いろんな地域の人たちとネットワークを築いていくなかで成果が実感できるプロモーションにつなげていかなくてはならないと考えています。

 

地元の人に応援してもらえるキャンペーンづくりを。

——単に高知県の情報を発信するだけでなく、地元の人たちとのリアルなネットワークこそ重要である、ということですよね。

そう考えて、キュレーションサイトである「高知家の◯◯」を立ち上げたということもあります。地方の人たちって、都会みたいに別にバリバリ働いたり、バンバン儲けたりとかって感じじゃないですよね。都会よりもゆったりと流れる時間。でもそこがシアワセだったりするんだと思います。だから「ホントはどうしたい?」みたいなことを聞きに行きながら、押しつけのプロモーションになりすぎないようにバランスを取っていく必要があると思っています。やっぱり、知名度が上がったあとは、応援してもらえる人の数を増やしたいですよね。「面から深さ」を求めるというか。地元紙の新聞の投書なんかで「高知家」に関して好意的な意見が出ているととてもうれしいですし。県外から来た人たちに、県内のみなさんが「高知家」のことを話すのが誇らしい気持ちになってもらえたら、もっと効果の出るキャンペーンになると思うんです。

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なるべく税金を使わないキャンペーンを構築したい。

——高知家キャンペーンが今後目指す姿はどのようなものなのでしょうか。

まずはキュレーションサイトを育てていくことですね。そしてそこでかかるコストのすべてとは言わなくても、利益を生み出せる構造を組み立てて、税金をなるべく使わなくても回っていく仕組みを構築したいと考えています。いつまでも一定の予算を充ててもらえるとは限りませんから。情報発信できる維持装置として、キュレーションサイトを育てていきたいですね。地方が生き残っていくためには、「ローカル&ノスタルジー」が大きなポイントだと思っています。例えば東京で、自分の地元でつくっている野菜とそうでない地域の野菜があったら、金額が同じであれば、大抵の人は自分の地元の野菜を買ってしまうはずです。そこに理由なんてないですよね。単に地元の野菜だから。また、なぜ人はコンピレーション・アルバムを買ってしまうのでしょうか。それはその頃多感な高校生だったからですよね。思い出があります。ロジカルな理由なんてありません。いつの時代に、どこにいたか。それがモノを買ったり、人が動く基準になっています。そういうことを土台にしながら、今後も「高知家」プロモーションを継続していきたいと考えています。

 

(おわり)

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小笠原慶二
一般財団法人高知県地産外商公社 プロモーション戦略局 局長
高知県出身。東京でIT業界やマーケティング業界でキャリアを積み、2010年より一般財団法人高知県地産外商公社へ。2013年4月より現職。高知家統一セールスキャンペーン推進本部総合プロデューサー、高知県商工労働部地域プロモーションアドバイザー、志国高知幕末維新博推進協議会SNSプロモーションアドバイザーなども兼務する。




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